現代の方言活用事例【ドラマの方言指導・舞台演劇・博物館】

現代の方言活用事例【ドラマの方言指導・舞台演劇・博物館】

こんにちは、つむぎゆりです!

今回は、現代の方言活用事例を解説します。

現代の方言活用事例【ドラマの方言指導・舞台演劇・博物館】

ドラマの方言指導を解説

この記事は以下の資料を参考に執筆しています↓

主にふたつの制約が存在

まず、最初からなんですが、方言はドラマに使用するのに際し制約が存在し使いにくい要素があります笑

大きくわけて2点、デメリットが見受けられるんですね。

ひとつめは、時代劇などに方言を使うと、すでに舞台背景が現代人の想像しにくい世界のため、話がわかりにくくなってしまったり現代感が伴ってしまうという点。

ふたつめは、基本的に視聴者は主人公に感情移入するため、共通語(標準語)のほうが最大公約数が大きく都合がいい、というものがあります。

ただ、それでも方言を使った登場人物は存在しますし(珍しいが主人公格でも)、時代劇や歴史ものでも、方言を喋るキャラクターは登場するんですね。

今回は最も有名で歴史のある、大河ドラマを例に方言ドラマの実際を解説します。

方言指導の成り立ち

ドラマに使う方言をよく知る俳優が方言指導を担当することが多く、NHKが1970年ごろに使い始めたことが発祥です。

1980年代から、大河ドラマと朝ドラにおいてクレジットロールに方言指導の担当者が書かれるようになりました。

…こうして調べてみると、意外と最近の文化でびっくりしますし、もともとはクレジットにもなかったのは今とだいぶ違いますね。

大河ドラマと方言指導の歴史

獅子の時代(1980年)

【方言指導がクレジットにはじめて明記】

幕末維新にて会津藩士と薩摩藩士が主人公のストーリー


翔ぶが如く(1990年)

【○○言葉指導の先がけ】

西郷隆盛が主人公で、薩摩弁ナレーションも。

クレジットに明記されたのは「薩摩言葉」「京言葉」「土佐言葉」「徴収言葉」


利家とまつ(2002年)から○○ことば指導に統一

補足すると、初期は方言指導していますよ、と伝えているものでしたが、現代になるにつれ○○の方言ですよ、と細かい区分分けがされることに。

また、NHKは番組やコーナー名でも「方言」という表記を避けていて、「お国ことば」として扱っているそう。

ちなみに、連続テレビ小説で初の方言指導クレジットは、おしん(1983年)となります。

方言指導が多い舞台や登場人物

資料によれば、方言指導が圧倒的に多いのが幕末維新ものということです。

そして方言を使う登場人物として多いのは、以下の3名。

坂本リョウマ(土佐弁)

西郷隆盛(薩摩弁)

勝海舟(江戸弁・べらんめえ口調)

ちなみに、「竜馬がゆく(1968年)」は初めて方言主人公が採用された大河ドラマとのこと。

また、資料によれば大河ドラマで以上の3名が方言キャラになったことにより、ほかの時代劇ドラマで同キャラの方言を喋る造形が広がったそうです。

総じて方言指導は時代劇や歴史ドラマに欠かせないものですが、安易に使えば内容がわかりにくくなってしまう欠点がありつつも、地域性や物語性を際立たせるために登場人物によっては必須ともいえる扱いになっている、といったところでしょうか。

舞台演劇や博物館における方言

舞台で方言を使うことのメリット・デメリットや事例を紹介。

また、音声言語である方言が、どう博物館で展示や利用をされているのかを解説します。

宝塚劇団の使用例

「外伝ベルサイユのばら-アンドレ編-」で方言が用いられたとのこと。

使われた方言は名古屋訛りの土佐弁で、方言自体を採用した理由は、田舎を表現したり非日常を表現するため。

…ただ、資料によれば、どうやらこの方言の舞台表現はあまり評判がよくなかったそうです。

その原因としては、もともとパリやベルサイユが憧れの対象であるのに対し(宝塚劇団やベルサイユという演目も)、たしかに外伝では田舎が舞台だったものの、世界観全体と方言は相性がよくなかった…のだとか。

資料のなかでは失敗例として掲載されていましたが、正直成功例と同じくらい真実味があって説得力があるとも僕は感じました。

劇団四季の使用例

「ライオンキング」のティモンとプンバァという登場人物に、方言が使われたとのこと。

方言が採用された理由としては、面白みがあっていたずら者であることの表現、王国から離れて逃げたことの表現などが挙げられます。

また、ライオンキングの方言脚本は、公演場所や時代によって細かく変わっていて、リアルな方言文化と連動しているらしいです。

具体例を挙げると、まず講演する場所の方言ごとに脚本を作る、初期は河内弁と京都弁が使われていたが、後期になって大坂バージョンにアップデートなどがされました。

要は、最初に公演してから10年間のあいだで、若者が細かい方言の違いを認識できなかったり、方言同士の境目や対立が薄れていったということになるのだとか。

資料によれば、2010年以降、方言はコンプレックスではなく、「楽しい」「かわいい」「癒やし」というイメージが根付いたことなども、ライオンキングの方言活用が成功した要因のひとつでは、と考察されていました。

また、ほかの事例ですがあえて観客がわからない濃い津軽弁を使うことで内容を想像してもらうリアルタイム性、関西弁を使いリアリティのあるストーリーを表現したものなども書籍では紹介されていたり。

博物館における方言

それでは、最後に博物館における方言について解説したいと思います。

まず方言を展示している博物館は少ないながらも、国民民族博物館(大坂)などでは世界中の言語や日本の方言が取り上げられているとのこと。

さらに方言展示には、方言自体を展示する様式と、方言を利用して別の展示をわかりやすくする2パターンが存在

そういった博物館での、展示実例は以下のとおり↓

  • 桃太郎の出だしを、22地域の方言音声と、3地域の若者言葉で展示(国立民族博物館)
  • 実際の事件などで犯人の残した音声テープを公開(金田一春彦記念図書館)
  • 百姓と農民の関係を方言を使って解説(十日町市博物館)
  • 山での生活や城下町の賑わいを方言で表現(山梨県立博物館)

方言を展示に利用することで、昔の生活様式などを説明する際に、どうしてもパネル展示などで静かとなってしまいがちですが、音声でもその詳細が伝わりやすいというメリットがあるとのこと。

また逆に、単に音声言語を紹介するというだけでなく、パターンであったりシチュエーションを変更することで、単なる方言の解説だけではなく、方言と関係する背後関係やその周辺をより説明しやすくなるというメリットもあったことも実例からわかりました。

総じて、舞台演劇も博物館における展示物も、その地域性やユーザーに対する説得度合い、共通語では表せないニュアンスを表現できる、代替不可が効きにくい要素といえるのではないでしょうか。

まとめ

以上、現代の方言活用事例を解説しました!

ほかにも参考にした書籍にはバラエティ番組やニュース番組の事例もあるので、とてもおすすめです。

▶高校を受験せずお笑い芸人を目指す→ネタ見せ2年→小説を10年間で110作投稿し新人賞受賞→漫画で同人作家7年→現エンジニア&チャットノベル「百合と世界と名探偵」連載中。

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