こんにちは、つむぎゆりです!
今回は、「ユング心の地図」のレビューと感想になります。
結論からいうと、ユング心理学の初心者でもわかりやすい内容でしたが、それでもやや難易度が高いかなといった印象でした笑
ユングのタイプ論↓
ユングのタイプ論劣等機能と感情機能↓
ユング心理学本まとめ↓
本を読んだ感想やおすすめポイント
この本はBTSのアルバムの元になったものらしく、新装版のあとがきでも言及されていました。
なので、BTSファンの方やユング心理学をはじめて学ぶ方におすすめ…と言いたいところなのですが笑
ぜんぶで300ページほどあり、がっつりユング心理学が紹介されているので、どの程度アルバムの元ネタになっているかはわかりませんが、心理学に興味のある人じゃないとなかなか厳しいかもしれませんw
どんな人におすすめか
ユング心理学に興味があり、なおかつ読書に時間をかけられる人におすすめです。
本自体の説明はわかりやすいのはもちろんなのですが、細かいニュアンスや当時のユングの考え、およびユングの周りの人の考えや沿革なども載っており、至れり尽くせりです。
ただし、そのぶん結論までたどり着くのが長いです笑
一般的な学術書のように(教科書のような)要点と詳細といったように分けられていないので、「ここだけ読んどけばすぐわかる」のような目印が存在しませんw
なのですべて読まないと概要さえもわからず(逆をいえば読めばわかる)、まあ本ってそういうものでは?と言われたらそうなのですが笑、がっつり読書できる人向けなのは確実でしょう。
読んだ感想
自分が思ってた以上にユングは概念の人というか、まだ未解決なものや当時の科学ではわからなかったことを、実際に自分の体験を元にして仮説を立てる人だったんだなと。
さらにいうと、科学的根拠のある説と、まだ検証が不十分で未確定の説が両方あるんだなというのも初めて知りました。
というのも僕のイメージだと、ユングは心理学の基礎を形作った人といったイメージがあって、それはそうだったのですが、まだ未解明なものが多くあったんですよね。
もちろんそれだけでなく、きちんと実験を行って根拠を証明したものもあれば、元となった概念を提示したパターンもあったりとか。
なので、錬金術などもヒントにしている場合があり、面食らうかもしれませんがそれは仮説の段階というかユングの考え方であり、それらも含めてユング心理学とのこと。
あとがきも含めニュアンスがわかる
で、この訳者さんのあとがきもよかったですね。
ユング心理学の失敗はユング本人を奉りすぎたというなかなかにアグレッシブな発言があって笑
要は、ユングはいまだ未解明な心理的な箇所のことを、議論であったり推論するために名称をつけていたのですが、あとになってユング心理学を伝える人間が、それを大げさに(あとがきのなかではロマンチックという表現だったが)伝えてしまったんですよ。
よって、ユングがあえてぼやけて伝えたことが、曲解して後世に広がる要因となってしまった、と書かれていて、僕が感じた違和感もそういうことだったのか、とどこか納得感が得られました。
ですので、完全に実験と根拠で教科書のような知見が得られる、というよりは、確かにそういった知見もあるが、知的好奇心を刺激したり、科学では解明しにくい心の無意識や新装部分を解き明かそうとしたユングの言葉を味わう、といった趣をもったうえで読むとまた違ってくるかなと思います。
読んでわかったこと
上記にも書きましたが、読んでいて納得できる部分とそうでない部分がはっきりしていました笑
また、他の本ではわからなかった、心の表層と深層の関係や役割などもわかりやすかったです。
くわえて、リビドーやアニマ/アニムスなど、ユング心理学のなかでわかりにくい語句もページが多く割いて説明されており、ほかの本を読んでわからなかった、という方にはその単語の章だけでもベネフィットがあるでしょう。
ただ、いかんせん結論から過程が長いので笑、いやまあというのも、ユングがはっきりとわからないものに名前をつけているので、説明も自然と長くなってしまうのでしょうがもう少しとっつきやすさがほしかったなというのが正直なところです。
表層と自我意識
読んでいて覚えておきたいと思った箇所をメモしておいたので、参考までにどうぞ。
まとめると、自我は意識の中心であり自分そのもの、意識は人間の感覚が向けられている方角といったイメージでしょうか。
表層や自我意識について
- 自我は意識の中心にあるもの
- 意識は我々の知っているもので、無意識は我々の知らないもの
- 意識は気づき
- 自我は自信にとって好ましく内容を、抑圧したり排除できる
- たとえば車の運転をしていて考えごとをしているのが自我、運転をしているのが意識
- 自我は「衝突」で成長する
- 思考感覚感情直感は4つの機能であり、1と2はよく使用されるが3と4はあまり使われない
- 1と2の片方が外向きとなり、もう片方は内向きとなる
コンプレックス
まとめると、無意識のなかにコンプレックスがあり、意識されないことも数多くある、といった感じでしょうか。
コンプレックスについて
- 無意識にはコンプレックスという住人が住んでいる
- 「個人的無意識」とユングは呼んでいた
- 個人的コンプレックスは、家族的コンプレックスや社会的コンプレックスから感染する
- コンプレックスの中核はイメージ
- コンプレックスは夢の建築家のようなもの(寝るとき見る夢はコンプレックスが作っている)
- 二重人格はコンプレックスが制御できなくなった状態
- 情動という接着剤が、無意識にトラウマをくっつけているのがコンプレックス
ペルソナと影
まとめると、自分の見たくないものが影、主向きの顔がペルソナだが、ペルソナは周りの環境で大きく代わり、そのペルソナは自分と無意識で同化してしまうこともたびたびある、といったところ。
ペルソナと影について
- 自分が歩いたあとに後ろからついてくるのが「影」
- 影は背徳的、あるいは恥ずべき性質を持っている
- 「ペルソナ」はもともと訳者の仮面を示すローマの言葉
- 自我の裏面が影
- 自我が拒否したものが影となる
- ペルソナ(社会向けの人物)と自我は同一視され、ともにアイデンティティとして形成している
- 「影」はペルソナの許容しないものが集まった、いわば逆ペルソナ
- 人は外界からの刺激を無意識に同一化してしまうため、知らず知らずのうちにペルソナの影響を大きく受けている
- 社会の期待と要請、社会的意図や願望によってペルソナは方針付けられる
- ペルソナは大人になっても修正できるし、修正される
総じて
リビドーやアニマ/アニムスなど、あまり科学的な雰囲気が感じられないと思ったところは、ざっとしか正直読めずじまいでした笑
自分の理解力のせいがある気もするのと、実は図書館で最大まで同時に本を借りてしまいw、ちょっと急ぎ気味で呼んでしまったんですよね。
ただ冒頭でも書きましたが、ユングが示すすべての理論が系統だった科学でないことはあとがきでもいわれており(理論というか考え方?)、そういった概念であったり、同時に学会で評価された理論も提唱しているところにユングの深みがあるとも感じたので、残りの本でそれらを補完していきたいな、と思った次第です。
まとめ
以上、ユング心の地図(新装版)のレビューと感想でした!
タイトルにある「心の地図」というのもポイントで、自我や意識、コンプレックスやペルソナなど、心全体の位置や役割といったものの理解が深まるテキストといえると思います。